VCRまたはXLYというETFで米国一般消費財セクターに投資することができます。
VGTはバンガード社、XLKはステート・ストリート社が取り扱うETFです
この2社が運用する米国一般消費財セクターETFは、構成銘柄やコストなど異なります。これらの違いがパフォーマンスに影響を与えることがあるため、ETFの選定はしっかりとおこないましょう。
VCR・XLYの2種を徹底比較した結果、わずかな差でVCRに投資するのがよいという結論になりました。米国一般消費財セクターに投資を検討している人の参考になれば幸いです。
さっそく、その理由について解説していきます。
米国一般消費財セクターETF(VCR・XLY)の概要
米国一般消費財セクターとは?
米国一般消費財セクターとは、米国企業の中で、インターネット販売・通信販売、専門小売り、ホテル・レストラン・レジャーなどの企業を分類したグループのことです。
オンライン、オフライン混ざったセクターです
VCR・XLYの概要をチェックする
2020年11月24日調査時点のものになります。
検証項目 | VCR | XLY |
---|---|---|
運用会社 | バンガード | ステート・ストリート |
設定日 | 2004年01月26日 | 1998年12月16日 |
組入銘柄数 | 289 | 61 |
純資産総額 | 41.2 億ドル | 167.5 億ドル |
経費率 | 0.10% | 0.12% |
直近配当利回り | 0.79% | 1.01% |
ステート・ストリート社のXLYの純資産総額はVCRの4倍以上あります。一方のVCRの純資産総額も4000億円以上と非常に大きな規模のETFです。
楽天証券で投資信託ランキング1位のeMAXISSlim米国株式(S&P500)が2000億円なので、その規模の大きさがおわかりいただけるかと思います
ちなみにバンガード社のETFは経費率が低いことが有名ですが、ステート・ストリート社も対抗して経費率を下げており、大きな差がありませんでした。
直近配当利回りは1%前後と高くなく、株価の上昇でリターンを狙うETFであることがわかります。
ベンチマークする指数の違い
特徴 | VCR | XLY |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・マーケット・一般消費財・サービス25/50インデックス | 一般消費財セレクト・セクター指数 |
組入銘柄数 | 289 | 61 |
企業規模 | 大型株、中型株、小型株 | 大型株(S&P500) |
ここでは組入銘柄数と企業規模の違いを知っていただければ大丈夫です!
全米株式(VTI)とS&P500(VOO)のような関係性です
組入銘柄の重複率
時価総額ベースでの組入銘柄の重複率は81%とほとんど同じです。
業種比率の違い
2020年11月24日調査時点のものになります。
VCR業種 | VCR | XLY | XLY業種 |
---|---|---|---|
インターネット販売・通信販売 | 29.20% | 27.41% | インターネット販売・通信販売 |
住宅関連用品小売 | 10.50% | 26.41% | 専門小売り |
衣料小売 | 3.90% | ||
自動車小売 | 3.50% | ||
専門店 | 2.00% | ||
教育サービス | 1.10% | ||
専門消費者サービス | 0.80% | ||
コンピュータ・電子機器小売 | 0.80% | ||
家具・装飾小売 | 0.80% | ||
レストラン | 10.70% | 19.51% | ホテル・レストラン・レジャー |
ホテル・リゾート・クルーズ船 | 2.70% | ||
カジノ・ゲーム | 2.10% | ||
アパレル・アクセサリー・贅沢品 | 3.10% | 8.62% | 繊維・アパレル・贅沢品 |
履物 | 4.40% | ||
総合小売 | 4.10% | 6.36% | 複合小売り |
百貨店 | 0.30% | ||
住宅建設 | 3.20% | 4.81% | 家庭用耐久財 |
民生用電子機器 | 0.60% | ||
家庭用電気機器 | 0.60% | ||
家具・装飾 | 0.70% | ||
家庭用品・雑貨 | 0.30% | ||
自動車製造 | 7.90% | 3.49% | 自動車 |
自動車部品・装置 | 2.60% | 1.58% | 自動車部品 |
自動二輪車製造 | 0.20% | ||
タイヤ・ゴム | 0.20% | ||
販売 | 1.10% | 1.34% | 卸売 |
レジャー用品 | 2.00% | 0.47% | レジャー用品 |
レジャー設備 | 0.60% |
VCRとXLYで対応する業種が間違えている可能性がありますが、業種の比率が少しずつ異なっている点が気になります。
構成銘柄の違い
左端のrankはVCR、右端のrankはXLYを指しています。
CVRは2020年10月31日、XLYは2020年11月23日時点のデータです。
rank | 保有銘柄 | シンボル | VCR | XLY | rank |
---|---|---|---|---|---|
1 | Amazon.comInc. | AMZN | 22.7% | 21.4% | 1 |
2 | HomeDepotInc. | HD | 7.1% | 11.3% | 2 |
3 | TeslaInc. | TSLA | 5.7% | なし | – |
4 | McDonald’sCorp. | MCD | 4.0% | 6.2% | 4 |
5 | NIKEInc.ClassB | NKE | 3.7% | 6.4% | 3 |
6 | Lowe’sCos.Inc. | LOW | 3.0% | 4.0% | 6 |
7 | StarbucksCorp. | SBUX | 2.6% | 4.4% | 5 |
8 | TargetCorp. | TGT | 1.9% | 3.5% | 7 |
9 | BookingHoldingsInc. | BKNG | 1.7% | 3.2% | 8 |
10 | TJXCos.Inc. | TJX | 1.5% | 2.9% | 9 |
11 | MercadoLibreInc. | MELI | 1.4% | なし | – |
12 | DollarGeneralCorp. | DG | 1.3% | 2.1% | 11 |
13 | GeneralMotorsCo. | GM | 1.1% | 2.2% | 10 |
14 | LululemonAthleticaInc. | LULU | 1.0% | なし | – |
15 | eBayInc. | EBAY | 0.9% | 1.3% | 15 |
16 | O’ReillyAutomotiveInc. | ORLY | 0.8% | 1.3% | 16 |
17 | ChipotleMexicanGrillInc.ClassA | CMG | 0.8% | 1.4% | 13 |
18 | RossStoresInc. | ROST | 0.8% | 1.5% | 12 |
19 | FordMotorCo. | F | 0.8% | 1.4% | 14 |
20 | Yum!BrandsInc. | YUM | 0.7% | 1.2% | 18 |
TOP20 | – | – | 63.5% | 79.0% | TOP20 |
どちらの銘柄も約20%はアマゾンが締めています。
また、トップ20銘柄のうち3銘柄がXLYには含まれていませんでした。
みなさんご存知のテスラの他に、e-コーマスのメルカドリブレ、ルルレモンです。テスラはS&P500入が決定したため、2020年12月下旬にXLYにも組み込まれる予定です。
VCRもXLYもトップ20の銘柄が占める割合は高いですね。
現在の株価
VCRとXLYの現在の株価とチャートです。
米国一般消費財セクターETF(VCR・XLY)のパフォーマンス
結局はパフォーマンスが全てということでバックテストをしてみました(過去と未来の結果が同じ保証はないため、バックテストはあくまで参考までに)。
検証ツール
このブログではおなじみのポートフォリオビジュアライザーを用いて、パフォーマンスの比較をします。無料ツールとは思えない機能なので、知らない方は利用してみてください。
検証条件
検証期間:2004年2月〜2020年10月
配当金:再投資
検証結果
過去16年半の結果を見ると、どちらの銘柄もS&P500を上回るパフォーマンスでしたが、かろうじてVCRに軍配が上がりました(ほとんど変わらない&タイミングによる)。
2020年スタート時点ではXLYのほうがパフォーマンスが高かったようですが、2020年のパフォーマンスの差が大きいですね。これはテスラの爆上げの差が考えられます。この部分の差は今後は解消されますので、再びXLYがパフォーマンスが高い銘柄になっていくかもしれません。
まとめ
米国セクターETFの第4弾の記事になりましたが、バンガード派のわたしでも、米国一般消費財セクターETFについてはXLYもアリなんじゃないかと感じています。
S&P500入りする前のグロース銘柄の株価上昇の恩恵を得たいのであればVCR、大型株の安定性に期待するのであればXLYみたいな感じで良いのではないかと思います。
米国一般消費財セクターへの投資は楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで可能です。
米国株11種のセクターETFのまとめ記事もどうぞ!
みなさんの投資の一助になれば幸いです
おまけ
ちなみにブラックロック社が運用するグローバル・一般消費財(RXI)というETFもあります。
投資対象の国は米国、日本、フランス、ドイツなどに分散されています。わざわざ経費率が0.46%と高く、更にパフォーマンスも今回紹介した2種よりも劣っているRXIに投資したいとは思えませんでした。
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