長期の米国債利回りが高まると、ハイテクを始めとしたグロース株が下落するというような話を目にします。確かに日々の株価をチェックしていると米国債10年利回りとQQQやVGTなどの株価は逆相関しているように感じます。
しかし、わたしは長期投資を中心にやっていますし、日々の値動きで細々と売買していては、長期投資としての判断を見誤る可能性があると考えました。
気になったら自分で検証せずにはいられないわたしは、米国債10年利回りとNASDAQ100を比較してみました。
結論は短期であれば影響はあるものの、長期で見れば大きな影響はない(他の要因の方が株価に影響を与える)と言えそうです。ただし、素人の分析なので間違えなどあれば、ご指摘ください。
米国債10年利回りとNASDAQ100を比較してみる
検証条件
TRADING ECONOMICSの米国債10年利回りのページでNASDAQ100をチャートに追加して比較
3ヶ月、1年、5年、10年、30年超で比較
検証結果
左軸:NASDAQ100指数、右軸:米国債10年利回り
3ヶ月
2020年8月からの3ヶ月の期間で見るとたしかに米国債10年利回りとNASDAQ100指数は逆相関しているように見えます。相関関係だけではなく、因果関係もあります。
ただし、この3ヶ月のチャートを見てみると、米国債10年利回りの上昇率に比べるとNASDAQ100の下落率は限定的です。
1年
2019年末からの1年の期間で見ると同じような動きをしているようにも見えます。
今年はコロナショックがあったことで、FRBが大量に国債を購入しています。国債が買われると利回りは低下しますから、この1年だけで判断するのは危険かもしれません。
5年
次は2015年末からの5年間を見ていきます。
NASDAQ100は2018年末の暴落と2020年2月のコロナショックの暴落がありましたが、きれいな右肩上がりです。一方の米国債10年利回りは上下動が激しいですね。そして2018年末から右肩下がりで下落し続けています。更にコロナショック時の金融緩和で2年程度前倒しして大きく下落しています。
過去のトレンド通りに下がっていたら、現在は1.2%くらいだったんじゃないか思っています。そう考えると短期的にはもう少し利回りが上がっていくかもしれません(ハイパーグロース株にとって不利な局面)。
10年
2011年末からの10年を見ていきます。
NASDAQ100は5年と変わらず右肩上がりですね。この期間での比較では逆相関とは言えませんね。
30年超
最後に1980年代から30年超のチャートです(NASDAQ100指数のデータがあるところから)。
米国債10年利回りは30年間で右肩下がりです。30年前は金利が10%超えってやばいですw
一方のNASDAQ100は2000年代前半のドットコムバブルとその後の崩壊はありますが、それを除けば指数関数的な伸びを見せています。
このチャートを見ると相関関係があるように見えますが、因果関係があるとは言い切れなさそうです(金利が下がったからNASDAQが上がったというわけではない)。
まとめ
米国債10年利回りとNASDAQ100指数の比較でわかったことは、短期間であれば逆相関しています。
一方で長期になれば金利の影響よりも、ハイテクセクターが伸びるかどうかという別の要因のほうが株価に影響を与えると結論づけました。短期トレードする人であれば影響は大きいですが、わたしのような長期投資家にとってはそんなに気にする必要はないと思います。
そもそもわたしはハイテクグロース株に資産を集中しているわけでもありませんから、あんまり気にしてはいません。
ちなみに、米FRBは2023年まで利上げを行わない見通しを出していますし、短期的には金利の上げ下げを気にする必要はないんじゃないかと思います(FRBが利上げしないのはFF金利(=短期金利)なので、今回比較に用いた10年利回りとは異なりますが、下記のおまけを見る限りでは短期金利と長期金利は似たような動きをしています)。
みなさんの投資を考える際の一助になれば幸いです。
おまけ
今回用いた米国債10年利回りと1ヶ月利回りを比較してみました。
左軸がUS1M、右軸がUS10Yです。
利回りは異なるものの同じ動きをしています。
ただし、短期利回りの方は0%付近にへばりついているため、これよりも下がらないところまで来ています(3ヶ月のものも確認してみましたが同様でした)。
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