米国株投資においてS&P500指数のパフォーマンスを長期に渡って超えることは非常に難しく、プロであるはずの機関投資家でもアンダーパフォームしてしまうケースが大半です。よって、個別株をタイミングを見計らって買うのではなく、S&P500指数に連動する投資信託やETFに投資するのが無難です。
でも、S&P500を超えていきたいのが本音です(笑)
しかし、個別株はファンダメンタルズ分析は難しいですし、時間を確保するのも大変です。そんな人におすすめなのが米国株セクターETFを活用して収益性やシャープ・レシオを高めていく方法です。
個別企業を一つずつ見ていくよりは、「このセクターは成長しそうなのか?」を考えるほうがとっつきやすいですし、個別企業の影響を受けづらいためボラタリティ(変動率)が低い点がメリットです(逆に見ると短期で爆益を得づらいとも言えます)。
それでは、米国株セクターETF11種の比較結果を見ていきましょう!
米国株セクターETFとは?
米国株のセクターは11種類に分別されています。
セクター | ETF | 主要構成企業(上位3位+私が気になった銘柄) |
---|---|---|
情報技術 | VGT | AAPL、MSFT、V、MA、NVDA、PYPL、ADBE |
一般消費財 | VCR | AMZN、HD、TSLA、MCD、NKE |
ヘルスケア | VHT | JNJ、UNH、PFE |
生活必需品 | VDC | PG、KO、PEP、WMT、PM |
素材 | VAW | LIN、APD、NEM |
公益 | VPU | NEE、D、DUK |
資本財 | VIS | UNP、HON、UPS |
通信 | VOX | FB、GOOG、GOOGL、VZ |
不動産 | IYR | AMT、PLD、CCI |
金融 | VFH | JPM、BRK-B、BAC |
エネルギー | VDE | XOM、CVX、COP |
わたしは情報技術、生活必需品、ヘルスケアセクターに投資しています
各社IT企業(=情報技術)と勘違いしがちなので要注意です
米国株セクターETFのパフォーマンスを比較してみた
ざっくりと騰落率を調べてみる
各ETFを細かく調査する前にざっくりとパフォーマンスの推移を調べてみます。
検証ツール:TradingView
検証期間 :2006年4月3日〜2020年9月19日
検証期間は一番新しいETFのVISに合わせました
騰落率でランキングにするとこんな感じになりました(手数料、分配金は含まない)。
順位 | セクター | ETF | 騰落率 |
---|---|---|---|
1 | 情報技術 | VGT | 488.7% |
2 | 一般消費財 | VCR | 318.7% |
3 | ヘルスケア | VHT | 280.5% |
4 | 生活必需品 | VDC | 179.7% |
S&P500ETF | SPY | 151.5% | |
5 | 素材 | VAW | 104.7% |
6 | 公益 | VPU | 91.9% |
7 | 資本財 | VIS | 65.2% |
8 | 通信 | VOX | 61.0% |
9 | 不動産 | IYR | 13.6% |
10 | 金融 | VFH | -0.73% |
11 | エネルギー | VDE | -46.3% |
上位3銘柄は安定して成長し続けていることがわかると思います。リーマン・ショック後の戻りが早かった生活必需品ですが、この2年ほど成長が鈍化しているようです。
情報技術にはアップル、マイクロソフト、エヌディビア、アドビなど、一般消費財にはアマゾン、テスラが入っていることから上位にランクインしてくることは想定内でしたが、フェイスブック、アルファベット(Google)を含む通信サービスが2016年くらいからS&P500指数と比べて弱いです。
資本財(VIS)は検証期間直後に下落し続け、尋常じゃない下げを見せています。その後、何度か大きな上下が発生し、下値を少しづつ切り上げて65.21%まで戻してきました。ここでどんな銘柄や市況の変化などがあったのかを説明できればかっこいいのですが、残念ながら知りません・・・もしご存知の方がいれば教えて下さい。
最後に開始時点からマイナスになった金融(VFH)とエネルギー(VDE)です。金融についてはリーマンショック後、徐々に回復していっていたのですが、金利が下がり続けていることやコロナショックなどによって低迷しています。VDEは2014年くらいからS&P500指数を下回り、横ばいが続いた後にコロナショック&原油価格の下落などの影響で沈没しています。
上位3銘柄について細かく分析してみる
次に比較に使うツールはPORTFOLIO VISUALIZER(無料)です。
本記事を読んだあとに自身でも使ってみたい人は、以下の記事も参考にしてください。
S&P500指数を超えたVDCも仲間に入れようかと思いましたが、ツールで同時に比較できるのが3銘柄までかつ、直近の記事でまとめたのでVDCについて知りたいかたはそちらをご覧ください。
VGT、VCR、VHTの検証結果です。
条件:2005年1月〜2020年8月、分配金再投資
シャープ・レシオ、ソルティノ・レシオともに、VGTが最も高いという結果になりました。個人的にはVHTが下落率を抑えられており、高いのではないかと想像していたため意外でした。そのVHTは最大下落率を最も抑えられていること、2017年頃までは最も成長率が高かったこともあり、長期でホールドする際の安心感は非常に高い銘柄だなという感じです。
VCRはアマゾンとテスラなどの爆上げの影響でコロナ後に一気に伸ばしていています。
ちなみに今回検証にいれなかったVDCですが、シャープ・レシオ、ソルティノ・レシオ、最大下落率については4銘柄中1位です(リターンは4番目ですが)。
また、いずれの指標についてもS&P500指数を上回る結果になりました。
まとめ
米国株セクターETF11種の比較はいかがでしたか?
S&P500指数を上回るパフォーマンスの情報技術(VGT)、一般消費財(VCR)、ヘルスケア(VHT)、生活必需品(VDC)をうまく自身のポートフォリオに組み込むことで、投資の勝率を高めることができると考えています。
米国株セクターごとに分析した記事も合わせてお読みください。
みなさんのポートフォリオを考える際の一助になれば幸いです。
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