私の中で米国ETFといえばバンガード、ブラックロック、ステート・ストリートの3社です(ほかはQQQのインベスコ)。バンガードは経費率が低いことで有名です。
経費率が安いのは下記の投資家への約束に基づいて経営していることにあります。
- 常に投資家の利益を最優先に掲げます。バンガード社員の資産もその大半を皆様の資産と一緒に運用します
- 皆様の資産の運用に当たっては、慎重かつ賢明に、長期的視野をもって行い、他の資産運用会社を長期的に上回るリターンを提供することを目指します
- 最も高い企業倫理基準および受託者責任の基準に則って行動します
- コストの最小化を図りつつ、卓越したパフォーマンスとサービスを心掛け、資産運用サービスの提供者として最高の価値の提供に努めます
- 「率直に話す」というバンガードの理念に従い、投資による利益獲得の可能性のみならず、投資のリスクやコストについても、率直、公正にご説明します
- 皆様の資産と機密情報を保護する強固な管理体制を維持します
- 有能かつ勤勉な、多様性に富む人員を雇用し、皆様の資産運用を着実に行い、皆様の要望にお応えできるよう万全を尽くします
- サービス全般にわたり皆様のご期待に沿えるよう、環境変化に即応し、常に自己革新、改善に努めます
まあ、儲けられるかどうかがいちばん大切なわけですが(笑)
そんな大好きなバンガードが取り扱うETFについて、ちゃんと把握してなかったので調べてみました。
バンガードのETFについて検証
投資対象地域とETF数
バンガードが取り扱うETFは72銘柄でした(2020年10月4日時点)。
地域 | 銘柄数 |
---|---|
米国 | 55 |
グローバル(除く米国) | 5 |
新興国 | 2 |
欧州 | 2 |
英国 | 2 |
グローバル | 2 |
アジア(除く日本) | 2 |
太平洋 | 1 |
アジア太平洋(除く日本) | 1 |
総計 | 72 |
ちなみに楽天証券で取引ができる全357銘柄中、バンガードの米国ETFは65銘柄でした。上記の表では「米国が55銘柄なのに数が合わない」と思ったのですが、地域の定義が違っただけでした。楽天証券でバンガードが取り扱う米国55銘柄は全て取引できるようです。
ちなみに楽天証券ではグローバル(除く米国)が5つ、新興国が2つ、太平洋・欧州・グローバルが1つずつの計10銘柄が米国扱いになっているようです。
ファンド純資産総額ランキングトップ20
次にバンガードが取り扱うETFのファンド純資産総額ランキングトップ20をまとめました。
純資産総額の単位は10億ドル(記事中では$●Bと表記します)です。
順位 | ティッカー | ファンド名称 | 純資産総額 |
---|---|---|---|
1 | VTI | トータル・ストック・マーケットETF | 974.2 |
2 | VOO | S&P500 ETF | 596.7 |
3 | VXUS | トータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETF | 427.7 |
4 | BND | 米国トータル債券市場ETF | 288.5 |
5 | BNDX | トータル・インターナショナル債券ETF(米ドルヘッジあり) | 154.4 |
6 | VUG | 米国グロースETF | 137.7 |
7 | VEA | FTSE先進国市場(除く米国)ETF | 121.7 |
8 | VO | 米国ミッドキャップETF | 115.9 |
9 | VB | スモールキャップETF | 93.2 |
10 | VWO | FTSE・エマージング・マーケッツETF | 87.9 |
11 | VTV | 米国バリューETF | 84.1 |
12 | VXF | 米国エクステンデッド・マーケットETF | 77.5 |
13 | BSV | 米国短期債券ETF | 57.8 |
14 | VIG | 米国増配株式ETF | 57.6 |
15 | VGT | 米国情報技術セクターETF | 43.9 |
16 | VEU | FTSE・オールワールド(除く米国)ETF | 41.0 |
17 | VCIT | 米国中期社債ETF | 40.9 |
18 | BIV | 米国中期債券ETF | 38.8 |
19 | VCSH | 米国短期社債ETF | 38.2 |
20 | VTIP | 米国短期インフレ連動債ETF | 37.3 |
トップ1はトータル・ストック・マーケットETFのVTI、トップ2はS&P500 ETFのVOOと皆さんご存知の人気銘柄がランクインしました。
トップ3はトータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETFのVXUSと私は知らない銘柄でしたが、米国を除く先進国株式市場および新興国株式市場へ投資する全世界株式ETFです。アメリカとそれ以外のエリアの比率を自身で調整したい人に使えるETFですね。
4位には債券ETFで人気銘柄のBNDがランクイン。債券ETFは20位中7銘柄ランクインと私の想像よりも買われているんだなと感じました。短期〜中期のものが多いことから、現金で保有しておくよりも配当が出る債券で保有しておこうということなのかもしれません。
セクターETFでは15位に米国情報技術セクターETFのVGTが唯一ランクイン。私が購入しているヘルスケアセクターETFのVHTは29位($13.4 B)、生活必需品セクターETFのVDCは38位($6.5 B)でした。
パフォーマンス・ランキングトップ20
分配金を含まない株価の過去10年のパフォーマンスのよかったランキングトップ20をまとめました。
順位 | ティッカー | ファンド名称 | 過去1年 | 過去3年 | 過去5年 | 過去10年 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | VGT | 米国情報技術セクターETF | 46.2% | 28.5% | 27.0% | 20.2% |
2 | VCR | 米国一般消費財・サービス・セクターETF | 33.7% | 19.8% | 16.6% | 17.6% |
3 | MGK | 米国メガキャップ・グロースETF | 41.6% | 22.2% | 20.4% | 17.4% |
4 | VONG | ラッセル1000グロース株ETF | 37.4% | 21.6% | 20.0% | 17.1% |
5 | VUG | 米国グロースETF | 38.2% | 21.0% | 19.2% | 16.7% |
6 | VOOG | S&P500グロースETF | 30.5% | 18.9% | 18.2% | 16.4% |
7 | VHT | 米国ヘルスケア・セクターETF | 23.3% | 12.0% | 12.4% | 15.9% |
8 | MGC | 米国メガキャップETF | 19.0% | 13.8% | 15.2% | 14.2% |
9 | VV | 米国ラージキャップETF | 17.0% | 12.8% | 14.4% | 13.8% |
10 | VOO | S&P500 ETF | 15.1% | 12.2% | 14.1% | 13.7% |
11 | VOT | 米国ミッドキャップ・グロースETF | 22.6% | 14.8% | 14.0% | 13.7% |
12 | VONE | ラッセル1000 ETF | 15.9% | 12.3% | 14.0% | 13.6% |
13 | VTI | トータル・ストック・マーケットETF | 15.0% | 11.6% | 13.7% | 13.5% |
14 | VTHR | ラッセル3000 ETF | 14.9% | 11.5% | 13.5% | 13.3% |
15 | VBK | 米国スモールキャップ・グロースETF | 18.7% | 12.9% | 13.7% | 13.3% |
16 | VIG | 米国増配株式ETF | 9.8% | 12.9% | 14.0% | 12.5% |
17 | VTWG | ラッセル2000グロース株ETF | 15.8% | 8.2% | 11.5% | 12.3% |
18 | VXF | 米国エクステンデッド・マーケットETF | 13.0% | 8.1% | 11.2% | 12.1% |
19 | VIOG | S&Pスモールキャップ600グロースETF | 0.0% | 3.5% | 9.1% | 12.0% |
20 | VO | 米国ミッドキャップETF | 7.1% | 8.0% | 10.3% | 12.0% |
トップ1はアップル、マイクロソフトを含む米国情報技術セクターETFのVGT、トップ2はアマゾン、テスラを含む米国一般消費財・サービス・セクターETFのVCRがランクインしました。やはりハイテク企業の影響力はすごいですね。
トップ1、2は予想の範疇でしたが、トップ3はMGKと私は知らない銘柄がランクイン。米国株式市場における投資可能企業、時価総額上位約70%のうち、グロース株をカバーする、CRSP US メガキャップ・グロース・インデックスに連動したパフォーマンスを目指すETFです。
「なんのこっちゃ?」という感じかもしれませんが、以下の保有銘柄トップ10を見ていただくとなんとなくご理解できるのではないでしょうか?
順位 | 保有銘柄 | シンボル | 構成比 |
---|---|---|---|
1 | Apple Inc. | AAPL | 13.4% |
2 | Microsoft Corp. | MSFT | 11.4% |
3 | Amazon.com Inc. | AMZN | 9.8% |
4 | Facebook Inc. Class A | FB | 4.7% |
5 | Alphabet Inc. Class A | GOOGL | 3.3% |
6 | Alphabet Inc. Class C | GOOG | 3.1% |
7 | Tesla Inc. | TSLA | 2.5% |
8 | Visa Inc. Class A | V | 2.4% |
9 | Mastercard Inc. Class A | MA | 2.1% |
10 | NVIDIA Corp. | NVDA | 2.1% |
– | 合計 | – | 54.8% |
ちなみに構成銘柄数は107で、上位10銘柄で55%を占めます。
パフォーマンス・トップ10にはS&P500 ETFのVOOがランクインしました。やはり安定感がありますね。
それ以外にランクインした銘柄には名前に「グロース」と付く銘柄が8つランクインしています。当たり前ですがグロース株なので、パフォーマンスは高いですね。
両方のランキングに入ったETF
今回紹介した純資産額とパフォーマンスのトップ20の2つにランクインしたETFは以下の7つです。
ティッカー | ファンド名称 | 純資産額順位 | パフォーマンス順位 |
---|---|---|---|
VTI | トータル・ストック・マーケットETF | 1 | 13 |
VOO | S&P500 ETF | 2 | 10 |
VUG | 米国グロースETF | 6 | 5 |
VO | 米国ミッドキャップETF | 8 | 20 |
VXF | 米国エクステンデッド・マーケットETF | 12 | 18 |
VIG | 米国増配株式ETF | 14 | 16 |
VGT | 米国情報技術セクターETF | 15 | 1 |
VTI、VOO、VIG、VGTはよく目にするETFですね。あとVUGもたまに紹介している人を目にします。やはり人気のETFはランキング上位に入ってきますね。
私にとって初耳なETFはVOとVXFの2つ。
米国ミッドキャップETF(VO)
中型株で構成されており、今をときめくGAFAMなどは含まれていません。これでパフォーマンストップ20位にランクインしていたのはすごいですね。
金融セクターの比率が20%と高いのによく入ったなという感想を持っています。
セクター | 構成比 |
---|---|
テクノロジー | 21.1 % |
金融 | 20.3 % |
資本財 | 15.7 % |
消費サービス | 11.5 % |
ヘルスケア | 9.7 % |
消費財 | 9.6 % |
公益 | 5.8 % |
素材 | 3.7 % |
石油・ガス | 2.4 % |
電気通信 | 0.2 % |
次に保有銘柄トップ10です。4位にランクインしたドキュサインしか知りません(汗)しかも一部の銘柄に偏っておらず、分散されている点が特徴的ですね。全358銘柄で構成されているETFです。
順位 | 保有銘柄 | ティッカー | 構成比 |
---|---|---|---|
1 | Lululemon Athletica Inc. | LULU | 0.94% |
2 | Digital Realty Trust Inc. | DLR | 0.88% |
3 | DexCom Inc. | DXCM | 0.83% |
4 | DocuSign Inc. Class A | DOCU | 0.82% |
5 | Veeva Systems Inc. Class A | VEEV | 0.80% |
6 | Chipotle Mexican Grill Inc. Class A | CMG | 0.77% |
7 | Centene Corp. | CNC | 0.75% |
8 | Splunk Inc. | SPLK | 0.74% |
9 | Twilio Inc. Class A | TWLO | 0.73% |
10 | SBA Communications Corp. Class A | SBAC | 0.72% |
– | トップ10合計 | – | 7.97% |
米国エクステンデッド・マーケットETF(VXF)
グロースおよびバリュースタイルに分散した中型株および小型株で構成されるETFです。こちらのETFも金融セクターと不動産セクターの合計で20%と高いのに、パフォーマンストップ18位にランクインしたのはお見事。
セクター | 構成比 |
---|---|
情報技術 | 21.4 % |
一般消費財 | 17.2 % |
ヘルスケア | 15.0 % |
金融 | 13.1 % |
資本財 | 11.9 % |
不動産 | 7.0 % |
Communication Services | 4.7 % |
素材 | 3.5 % |
生活必需品 | 2.7 % |
公益 | 2.0 % |
エネルギー | 1.5 % |
1位のテスラが6%超え、2位のスクエアが約1%とグロース銘柄が上位に君臨。全3215銘柄で構成されるETFです。
順位 | 保有銘柄 | ティッカー | 構成比 |
---|---|---|---|
1 | Tesla Inc. | TSLA | 6.52% |
2 | Square Inc. | SQ | 0.99% |
3 | Lululemon Athletica Inc. | LULU | 0.78% |
4 | Workday Inc. Class A | WDAY | 0.67% |
5 | Veeva Systems Inc. Class A | VEEV | 0.67% |
6 | Blackstone Group LP | BX | 0.65% |
7 | NXP Semiconductors NV | NXPI | 0.64% |
8 | CoStar Group Inc. | CSGP | 0.61% |
9 | Twilio Inc. Class A | TWLO | 0.61% |
10 | Splunk Inc. | SPLK | 0.57% |
– | トップ10合計 | – | 12.70% |
ちなみにVOとVXFの両方のトップ10にランクインした銘柄は以下の4銘柄です。
銘柄 | ティッカー | セクター |
---|---|---|
Lululemon Athletica Inc. | LULU | 一般消費財 |
Veeva Systems Inc. Class A | VEEV | 情報技術 |
Splunk Inc. | SPLK | 情報技術 |
Twilio Inc. Class A | TWLO | 情報技術 |
ルルレモンはアパレル通販、VeevaとSplunkは企業向けデータソリューション系企業、Twilioは企業向けの電話やSMS・ビデオ・チャット・FAX・SNSなどのコミュニケーションをウェブやモバイルアプリとつないでくれる企業です。
大きな成長を期待するのであれば、ETFで買うよりも個別銘柄で狙ってもよい企業群かもしれません(まったく企業分析などしていませんが)。
まとめ
バンガード社が取り扱うETFについて調べてみました。果たしてニーズがあるのかは微妙ですが、個人的には調べたかったことなのでスッキリしました。
別記事で取り上げてみてもいいかなと感じたETFもありましたので、機会があれば調査して記事にしてみようと思います。
みなさんのポートフォリオを考える際の一助になれば幸いです。
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