VOXまたはXLCというETFで米国通信サービスセクターに投資することができます。
VOXはバンガード社、XLCはステート・ストリート社が取り扱うETFです
この2社が運用する米国資本財セクターETFは、構成銘柄やコストなど異なります。これらの違いがパフォーマンスに影響を与えることがあるため、ETFの選定はしっかりとおこないましょう。
今回、VOXとXLCの2種を比較した結果、VOXに投資する方がよいという結論づけました。
さっそく、その理由について解説していきます。
米国通信サービスセクターETF(VOX・XLC)の概要
特に断りがなければ、2020年11月30日時点のデータを利用しています。
米国通信サービスセクターとは?
米国通信サービスセクターとは、双方向型メディアおよびサービス、娯楽、メディアなどの米国企業が属するグループです。
インターネット企業が多数含まれるセクターです
VOX・XLCの概要をチェックする
検証項目 | VOX | XLC |
---|---|---|
運用会社 | バンガード | ステート・ストリート |
設定日 | 2004年09月23日 | 2018年06月19日 |
組入銘柄数 | 113 | 26 |
純資産総額 | 32.0 億ドル | 120.2 億ドル |
経費率 | 0.10% | 0.12% |
直近配当利回り | 0.67% | 0.70% |
ステート・ストリート社のXLCの純資産総額はVOXの4倍近くあります。一方のVOXの純資産総額も3000億円以上と非常に大きな規模のETFです。
楽天証券で投資信託ランキング1位のeMAXISSlim米国株式(S&P500)が2000億円なので、その規模の大きさがおわかりいただけるかと思います
ちなみにバンガード社のETFは経費率が低いことが有名ですが、ステート・ストリート社も対抗して経費率を下げており、大きな差がありませんでした。配当利回りを考慮すると、誤差レベルと言えるでしょう。
直近配当利回りは1%弱と低い部類に入ります。
ベンチマークする指数の違い
特徴 | VOX | XLC |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・マーケット・通信サービス25/50インデックス | コミュニケーション・サービス・セレクト・セクター指数 |
組入銘柄数 | 113 | 26 |
企業規模 | 大型株、中型株、小型株 | 大型株(S&P500) |
全米株式(VTI)とS&P500(VOO)のような関係性です
組入銘柄の重複率
時価総額ベースでの組入銘柄の重複率は77%とほとんど同じです。
業種比率の違い
VOXセクター | VOX | XLC | XLCセクター |
---|---|---|---|
Interactive Media & Services | 47.1% | 49.6% | 双方向型メディアおよびサービス |
映画・娯楽 | 14.7% | 19.2% | 娯楽 |
Interactive Home Entertainment | 4.8% | ||
ケーブル・衛星テレビ | 10.8% | 17.1% | メディア |
放送 | 3.9% | ||
代替通信事業会社 | 3.5% | ||
広告 | 1.7% | ||
出版 | 1.5% | ||
総合電気通信サービス | 9.0% | 9.2% | 各種電気通信サービス |
無線通信サービス | 3.0% | 4.9% | 無線通信サービス |
多少の違いはありますが、業種比率に大きな違いはありません。
構成銘柄の違い
左端のrankはVOX、右端のrankはXLCを指しています。
rank | 保有銘柄 | シンボル | VOX | XLC | rank |
---|---|---|---|---|---|
1 | Facebook Inc. Class A | FB | 16.6% | 21.9% | 1 |
2 | Alphabet Inc. Class C | GOOG | 11.1% | 12.1% | 3 |
3 | Alphabet Inc. Class A | GOOGL | 11.0% | 12.3% | 2 |
4 | Walt Disney Co. | DIS | 5.8% | 4.6% | 6 |
5 | Comcast Corp. Class A | CMCSA | 4.5% | 4.6% | 5 |
6 | Netflix Inc. | NFLX | 4.5% | 4.2% | 9 |
7 | AT&T Inc. | T | 4.4% | 4.1% | 11 |
8 | Verizon Communications Inc. | VZ | 4.4% | 4.2% | 10 |
9 | Charter Communications Inc. Class A | CHTR | 2.9% | 4.5% | 7 |
10 | T-Mobile US Inc. | TMUS | 2.4% | 4.9% | 4 |
11 | Activision Blizzard Inc. | ATVI | 1.9% | 4.2% | 8 |
12 | Snap Inc. | SNAP | 1.5% | なし | – |
13 | Electronic Arts Inc. | EA | 1.3% | 3.4% | 12 |
14 | Match Group Inc. | MTCH | 1.3% | なし | – |
15 | Twitter Inc. | TWTR | 1.3% | 3.4% | 13 |
16 | Pinterest Inc. Class A | PINS | 1.3% | なし | – |
17 | Roku Inc. | ROKU | 1.3% | なし | – |
18 | Take-Two Interactive Software Inc. | TTWO | 0.9% | 1.9% | 14 |
19 | ViacomCBS Inc. Class B | VIAC | 0.9% | 1.8% | 15 |
20 | Zillow Group Inc. | Z | 0.8% | なし | – |
TOP20 | – | – | 80.0% | 95.9% | TOP20 |
トップ20にランクインしている構成銘柄は15銘柄は同じでしたが、5銘柄はランクインしていませんでした。VOXにはコロナ禍でデジタルシフトした影響などで株価が高まった結果、時価総額ランキングで上位になったものの、S&P500には組み込まれていないということが起きています。
ちなみにVOXに含まれるXLC銘柄の構成比率は約8割と大部分を占めています。
FacebookやAlphabet(Google)、ネットフリックス、Twitterあたりは米国情報技術セクターに入っていそうな印象を持たれるかもしれませんが、米国通信サービスセクターに属している点に気をつけましょう。
現在の株価
VOXとXLCの現在の株価とチャートです。
米国通信サービスセクターETF(VOX・XLC)のパフォーマンス
結局はパフォーマンスが全てということでバックテストをしてみました(過去と未来の結果が同じ保証はないため、バックテストはあくまで参考までに)。
検証ツール
このブログではおなじみのポートフォリオビジュアライザーを用いて、パフォーマンスの比較をします。無料ツールとは思えない機能なので、知らない方は利用してみてください。
検証条件
検証期間:2018年7月〜2020年11月
配当金:再投資
検証結果
比較検証期間も2年と短いため参考にもなりませんが、VOXとS&P500だけを2004年10月から比較してもS&P500を下回るという結果になりました。
また、VOX、XLCともにS&P500を下回るパフォーマンスでした。
VOXに軍配が上がりましたが、S&P500を下回ったのは意外でした(Google、Facebookで4割も含まれているのに)
まとめ
結論としてはVOXの方がよさそうですが、検証期間も2年と短いため参考程度に見てください。
しかし、インターネット業界は入れ替わりが激しく、リアルタイムに反映しやすいVOXの方がパフォーマンスは高かったんじゃないかと想像しています(XLCが過去に存在していた場合)。
米国通信サービスセクターへの投資は楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで可能です。
米国株11種のセクターETFのまとめ記事もどうぞ!
みなさんの投資の一助になれば幸いです
おまけ
世界中のコミュニケーションサービスセクターに投資するグローバル コミュニケーションサービス ETF(IXP)というブラックロック社が運用するETFもあります。
投資対象国 | 保有比率(%) |
---|---|
米国 | 69.02 |
中国 | 9.62 |
日本 | 8.09 |
イギリス | 2.31 |
カナダ | 2.13 |
フランス | 1.74 |
ドイツ | 1.48 |
スペイン | 1.08 |
キャッシュ、デリバティブ等 | 0.19 |
その他 | 4.34 |
世界中に投資先が分散されている点はよいのですが、パフォーマンスは今回紹介した2種のETFよりも悪く、更に経費率が0.46%と高いため、わたし自身は積極的に投資したいとは思えませんでした。
超長期的にアメリカ以上に成長する国があるのであれば、投資してもよいかもしれませんが、気になる国の株式やETF、投資信託を購入すればいいような気もしています(7割も米国ですし)。
米国株の11種のセクターETFについて分析した記事も合わせて読んでみてください。
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