VDCまたはXLPというETFで米国生活必需品セクターに投資することができます。
VDCはバンガード社、XLPはステート・ストリート社が取り扱うETFです
この2社が運用する米国生活必需品セクターETFは、構成銘柄やコストなど異なります。これらの違いがパフォーマンスに影響を与えることがあるため、ETFの選定はしっかりとおこないましょう。
ちなみにわたしは米国ETFの20%を米国生活必需品セクターETFに投資しています。これは過去の記事(ロジャーズ次郎の秘密のポートフォリオ5種)でも紹介しています。
それにも関わらず、VHT・XLPのどちらがよいかを比較をしていませんでした(汗)
わたしの結論はVDCに投資し続けるということで変わりませんでした
さっそく、その理由について解説していきます。
米国生活必需品セクターETF(VDC・XLP)の概要
米国生活必需品セクターとは?
米国生活必需品セクターとは、米国企業の中で、家庭用品、清涼飲料、包装食品・肉、スーパーマケット、タバコなどの企業を分類したグループのことです。
普段生活する上で欠かせない業種が多く含まれており、景気に左右されづらい性質があります
VDC・XLPの概要をチェックする
2020年11月23日調査時点のものになります。
検証項目 | VDC | XLP |
---|---|---|
運用会社 | バンガード | ステート・ストリート |
設定日 | 2004年01月26日 | 1998年12月16日 |
組入銘柄数 | 94 | 32 |
純資産総額 | 60.8 億ドル | 14.07 億ドル |
経費率 | 0.10 % | 0.12% |
直近配当利回り | 2.04% | 2.27% |
純資産総額の小さなVDCでも6000億円を超える非常に大きな規模のETFです。
楽天証券で投資信託ランキング1位のeMAXISSlim米国株式(S&P500)が2000億円なので、その規模の大きさがおわかりいただけるかと思います
ちなみにバンガード社のETFは経費率が低いことが有名ですが、ステート・ストリート社も対抗して経費率を下げており、大きな差がありませんでした。
直近配当利回りは高配当銘柄で人気のコカ・コーラやフィリップモリスやアルトリア・グループなどが含まれていることもあり、2%を超える水準です(構成銘柄は後ほど紹介します)。
ベンチマークする指数の違い
特徴 | VDC | XLP |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・マーケット・生活必需品25/50インデックス | 生活必需品セレクト・セクター指数 |
組入銘柄数 | 94 | 32 |
企業規模 | 大型株、中型株、小型株 | 大型株(S&P500) |
ここでは組入銘柄数と企業規模の違いを知っていただければ大丈夫です!
全米株式(VTI)とS&P500(VOO)のような関係性です
組入銘柄の重複率
時価総額ベースでの組入銘柄の重複率は84%とほとんど同じです。
業種比率の違い
生活必需品セクターと言っても多数の業種が含まれています。
VDC業種 | VDC | XLP | XLP業種 |
---|---|---|---|
家庭用品 | 25.5% | 26.4% | 家庭用品 |
清涼飲料 | 20.1% | 24.7% | 飲料 |
蒸留酒・ワイン | 2.6% | ||
醸造 | 1.0% | ||
包装食品・肉 | 16.3% | 17.4% | 食品 |
農産物 | 2.7% | ||
スーパーマーケット | 14.7% | 20.2% | 食品・生活必需品小売 |
食品流通 | 2.2% | ||
食品小売 | 2.2% | ||
薬品小売 | 1.5% | ||
タバコ | 7.5% | 8.3% | タバコ |
パーソナル用品 | 3.7% | 3.0% | パーソナル用品 |
多少の違いはありつつも、業種比率に大きな差はないようです。
構成銘柄の違い
VDCは2020年10月31日、XLPは2020年11月19日時点のデータです。
rankが2つありますが、左はVDC、右はXLPを指しています。
rank | 保有銘柄 | シンボル | VDC | XLP | rank |
---|---|---|---|---|---|
1 | Procter & Gamble Co. | PG | 16.4% | 17.0% | 1 |
2 | Walmart Inc. | WMT | 9.4% | 10.4% | 2 |
3 | Coca-Cola Co. | KO | 9.4% | 10.1% | 3 |
4 | PepsiCo Inc. | PEP | 8.9% | 9.7% | 4 |
5 | Costco Wholesale Corp. | COST | 4.9% | 4.9% | 5 |
6 | Philip Morris International Inc. | PM | 4.2% | 4.1% | 7 |
7 | Mondelez International Inc. Class A | MDLZ | 3.9% | 4.6% | 6 |
8 | Colgate-Palmolive Co. | CL | 3.3% | 4.1% | 9 |
9 | Altria Group Inc. | MO | 3.1% | 4.1% | 8 |
10 | Estee Lauder Cos. Inc. Class A | EL | 2.5% | 3.0% | 10 |
11 | Kimberly-Clark Corp. | KMB | 2.3% | 2.7% | 11 |
12 | General Mills Inc. | GIS | 1.8% | 2.1% | 12 |
13 | Monster Beverage Corp. | MNST | 1.6% | 1.7% | 15 |
14 | Sysco Corp. | SYY | 1.5% | 2.0% | 13 |
15 | Kroger Co. | KR | 1.4% | 1.4% | 18 |
16 | Constellation Brands Inc. Class A | STZ | 1.4% | 1.9% | 14 |
17 | Walgreens Boots Alliance Inc. | WBA | 1.4% | 1.5% | 16 |
18 | Archer-Daniels-Midland Co. | ADM | 1.4% | 1.5% | 17 |
19 | Clorox Co. | CLX | 1.4% | 1.4% | 19 |
20 | Church & Dwight Co. Inc. | CHD | 1.2% | 1.2% | 22 |
TOP20 | – | – | 81.0% | 89.4% | TOP20 |
トップ20の順位の差はありつつも、ほとんど構成銘柄は同じでした。構成銘柄数がXLPのほうが少ないこともあり、TOP20に占める比率は9割近いです。逆にVDCも銘柄数が90を超えているにもかかわらず、上位組込銘柄の比率が高くなっていることがわかります。
現在の株価
VDCとXLPの現在の株価とチャートです。
米国生活必需品セクターETF(VDC・XLP)のパフォーマンス
結局はパフォーマンスが全てということでバックテストをしてみました(過去と未来の結果が同じ保証はないため、バックテストはあくまで参考までに)。
検証ツール
このブログではおなじみのポートフォリオビジュアライザーを用いて、パフォーマンスの比較をします。無料ツールとは思えない機能なので、知らない方は利用してみてください。
検証条件
検証期間:2004年2月〜2020年10月
配当金:再投資
検証結果
過去16年半の結果を見ると、どちらの銘柄もS&P500を上回るパフォーマンスでしたが、VDCに軍配が上がりました。
ちなみに年単位で比較するとVDCのほうがパフォーマンスのよい年の数が多いですが、大きなな差は見られませんでした。
まとめ
VDCのほうがパフォーマンスが高かったのでホッとしています(笑)
ただし、近年ではGAFAの成長が著しく、S&P500指数よりもパフォーマンスが低い年が増えています。また、XLPに負けている年も多いことから、一概にVDCがよいと言い切れませんでした。
わたしはバンガード社が好きなこともありますので、冷静な判断ができるようにETF選定をしなければいけないと感じました。
米国生活必需品セクターへの投資は楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで可能です。
米国株11種のセクターETFのまとめ記事もどうぞ!
みなさんの投資の一助になれば幸いです
おまけ
ちなみにブラックロック社が運用するグローバル生活必需品(KXI)というETFもあります。
投資対象の国は米国、イギリス、スイス、日本、フランス、オランダ、カナダ、オーストラリア、ベルギー、ドイツなどに分散されていますが、経費率が0.46%と高く、更にパフォーマンスも今回紹介した2種、そしてS&P500よりも劣っています。
未来はどうなるかはわかりませんが、全く投資したいと思えるETFではありませんでした。
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