猛烈なファンというか信者?を多数抱えるS&P500®高配当株式ETFのSPYD。
米国株投資をしている人であれば一度は名前を聞いたことがあるETFですよね。私自身も米国株投資を始めた頃に「高配当ETFのSPYDを積み立てていくことで配当金生活を目指そう!」みたいなブログやYouTubeを多数見たことで、「これは買わねば!」と洗脳された結果なった結果、初めて買った米国ETFになりました。
ちなみに2020年3月下旬〜5月上旬に買ったので、一応プラスになっています。
そんな思い出深いETFであるSPYDですが、音楽性の違いによりお別れしようと思っています。
ちなみにSPYDだけではなく、VYMやHDVといった高配当ETFすべてとお別れしますが、特にSPYDについては書いておきたいことがあるため、この記事ではSPYDに絞って書きます。
高配当ETF SPYDの特徴と問題とは?
SPYDの公式情報を読み解く
ステート・ストリート社の公式ページに記載されている主な特徴です。
私がSPYDを買ったときにはちゃんと調べていませんでした(汗)
- S&P500®高配当指数の値動きに、経費控除前ベースで、概ね連動する投資成果を追求します。
- コアとなる資産クラスに対して幅広い分散投資を可能にするポートフォリオ構築ツールであり、低コスト・コアSPDR®ポートフォリオETFシリーズの一つです。
- 高水準の配当収入および元本成長の機会を追求する低コストETFです。
- 指数は、S&P500®指数を構成する銘柄のうち、配当利回りの上位80銘柄のパフォーマンスを計測する指標です。
公式に記載はありませんが年2回組入銘柄を見直し(80銘柄は1.25%均等)あたりが特徴です。
ここで重要なのは公式ページに記載されている4つ目の特徴です。S&P500指数を構成する約500銘柄の中から配当利回りの上位80銘柄を組み入れていくということです(ちなみにアメリカで上場している企業数は3500社前後あります)。
よって、SPYDに組み入れられている80社はどこの馬の骨かわからない企業ではありません(そもそも米国で上場している時点ですごいことではあります)。ちなみにSPYDに組み入れられている80銘柄の時価総額はS&P500の10%を占めます(2020年9月17日現在)。
次にセクター別の構成比率は以下のとおりです(参考にS&P500指数ETF SPYを比較)。
セクター | SPYD | SPY |
金融 | 23.49% | 9.91% |
不動産 | 18.66% | 2.72% |
エネルギー | 11.07% | 2.30% |
公益事業 | 10.75% | 2.95% |
情報技術 | 9.07% | 27.53% |
コミュニケーション・サービス | 7.64% | 10.82% |
素材 | 6.97% | 2.75% |
一般消費財・サービス | 5.40% | 11.28% |
生活必需品 | 4.63% | 7.02% |
ヘルスケア | 2.31% | 14.21% |
資本財・サービス | 0% | 8.52% |
比率の高い上位3つのセクターは金融、不動産、エネルギーと言う結果に。
株価が冴えないワースト3のセクター比率が半分以上を占めています。セクターごとのパフォーマンスについて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
SPYDの何が問題なのか?
S&P500指数に採用されるような企業から80社選んでいるんだし「問題ないじゃないか!」という声も聞こえますが・・・、配当利回りが高くなったプロセスに問題のある企業が混ざっています。これがSPYDの株価が上がりづらい要因となり、問題視されているポイントです。
もう少しわかりやすく説明します。
業績悪化時にSPYDに組み入れられる
「株価:200ドル、分配金:5ドル、配当利回り:2.5%」という企業があったとします。
業績不振で株価が半分になってしまいましたが、さらなる株価下落を招かないためにも減配をしませんでした(日本と比べると米国は減配に厳しいです)。
「株価:100ドル、分配金:5ドル、配当利回り:5%」という高配当企業になりました。ただし、業績が悪くなっており、利益が出せない体質になっているため、分配金を維持し続けられずに最終的には減配してしまうなんてこともあります。
業績回復時にSPYDから外される
今度は逆のパターンです。
「株価:100ドル、分配金:5ドル、配当利回り:5%」という高配当企業の業績が回復しました。
「株価:200ドル、分配金:5ドル、配当利回り:2.5%」と株価は大幅に上昇しました。
しかし、業績が回復し、配当利回りが下がった結果、SPYDの80銘柄から外れることになります。残り続けてくれていれば、SPYDの株価も上昇してくれるのですが・・・
SPYDは配当利回りを再重視しているからそういう銘柄です
上記の通り、SPYDは値下がりをした銘柄をナンピン買いし続けるようなETFです。
こういったことをわかった上でSPYDに投資すること自体は問題ありません。分配金収入を存分に楽しんでください。
しかし、私のように知識がない状態でインフルエンサーなどの情報に流されている人が多いのではないかと思っています。「知っていたら投資しなかったのに!」という人を一人でも減らせれば嬉しいです。
私がSPYDをディスっているような感じにも見えるかもしれませんが、リターンを得る難易度が高い銘柄だという風に捉えています。アメリカ経済が好景気に入った場合は、出遅れセクターの回復により株価上昇(コロナ前に戻る)と配当金も両取りできるでしょう。
ただ、そのためにはSPYDを買うタイミングが非常に重要です。S&P500指数ETFを毎月定期購入するようなやり方では大きなパフォーマンスは得づらいと考えます。
よって、上級者向けのETFだと考えているのですが、初心者の方が買っている印象があります。わざわざハードモードの投資をしなくてもいいのではないかというのが私の意見です。
S&P500®高配当株式ETF、米国高配当株式ETF、S&P500ETFを比較
S&P500®高配当株式ETF(SPYD)、米国高配当株式ETF(SDY)、S&P500ETF(SPY)を比較していきます。
米国高配当株式ETF SDYもステート・ストリート社が運営しており、ステート・ストリート社の公式ページには以下の特徴が記載されています。
- S&P®高配当貴族指数の値動きに、経費控除前ベースで概ね連動する投資成果を追求します。
- 同指数は、20年以上増配を継続している銘柄を選別し、構成比率は予想配当利回りに基づいて決定されます。
- 20年以上にわたる連続増配を実現する銘柄は、単純に配当利回りが高い銘柄とは異なり、配当収入とともに株価の成長を期待することができます。
SDYは20年以上の増配継続が選定条件で、バンガード社のVIG(米国増配株式)に似ています。
検証方法と条件
SPYD、SDY、SPYの3銘柄を比較する条件は以下のとおりです。
検証条件:2016年1月〜2020年8月、開始時に1万ドル投資、配当再投資
検証に使ったツールは、このブログでおなじみのPORTFOLIO VISUALIZER(無料)です。
検証結果
正直イメージしていたチャートと微妙に違いました。2019年7月くらいまでは3銘柄とも大きくパフォーマンスに差がありませんでした。
しかし、コロナショック後に大きく差が生まれています。やはり高配当株は不景気時に影響を大きく受けるようなセクターや銘柄が多いということがわかります。
コロナがなければSPYDもこんなに低迷していなかったでしょうね。
年別リターン
初年度(2016年)はSPYDのパフォーマンスがSPYの2倍以上と意外な結果に。
投資タイミングによってはS&P500指数を超えるパフォーマンスを狙えるかもしれません。私が今後買うことはありませんが、「SPYDに投資してないやつおる?」って煽る人が出てくる未来も・・・ないかな。
直近のパフォーマンス
コロナの影響で、過去3年はマイナスという結果に。全期間ではかろうじてプラスに。セクターローテーションが起きているかも?みたいな話もありますし、出遅れている金融や不動産、エネルギーセクターが上がる局面では値上がりを期待できる可能性も?
配当金
SPYDの主戦場である配当金です。
流石にSPYに対して2倍以上の差はついているようですが、前述の通り株価が大幅に下落してしまっている状況なので、トータルリターンとしてはね・・・。
まとめ
SPYDについて書いてきましたがいかがでしたでしょうか?
私のブログを読むような方には正直SPYDはおすすめできないETFじゃないかなと。
私自身はSPYDを始め、高配当株式ETFはすべて売却する予定です。それらの理由については売却後に記事をアップロードします。
みなさんのポートフォリオを考える際の一助になれば幸いです。
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