VISまたはXLIというETFで米国資本財セクターに投資することができます。
VISはバンガード社、XLIはステート・ストリート社が取り扱うETFです
この2社が運用する米国資本財セクターETFは、構成銘柄やコストなど異なります。これらの違いがパフォーマンスに影響を与えることがあるため、ETFの選定はしっかりとおこないましょう。
今回、VISとXLIの2種を比較した結果、VISに投資する方がよいという結論づけましたが、どちらに投資したとしてもパフォーマンスに大きな差はありませんでした。
さっそく、その理由について解説していきます。
米国資本財セクターETF(VIS・XLI)の概要
特に断りがなければ、2020年11月30日時点のデータを利用しています。
米国資本財セクターとは?
米国資本財セクターとは、航空宇宙・防衛、機械、コングロマリット、陸運・鉄道などの米国企業が属するグループです。
VIS・XLIの概要をチェックする
検証項目 | VIS | XLI |
---|---|---|
運用会社 | バンガード | ステート・ストリート |
設定日 | 2004年09月23日 | 1998年12月16日 |
組入銘柄数 | 354 | 73 |
純資産総額 | 39.8 億ドル | 164.1 億ドル |
経費率 | 0.10% | 0.12% |
直近配当利回り | 1.53% | 1.79% |
ステート・ストリート社のXLIの方が歴史も古く、純資産総額は4倍以上の差があります。一方のVISの純資産総額も約4000億円と非常に大きな規模のETFです。
楽天証券で投資信託ランキング1位のeMAXISSlim米国株式(S&P500)が2000億円なので、その規模の大きさがおわかりいただけるかと思います
ちなみにバンガード社のETFは経費率が低いことが有名ですが、ステート・ストリート社も対抗して経費率を下げており、大きな差がありませんでした。配当利回りを考慮すると、誤差レベルと言えるでしょう。
直近配当利回りは1.5%ちょいと普通レベルの水準です。
ベンチマークする指数の違い
特徴 | VIS | XLI |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・マーケット・資本財・サービス25/50インデックス | 資本財セレクト・セクター指数 |
組入銘柄数 | 354 | 73 |
企業規模 | 大型株、中型株、小型株 | 大型株(S&P500) |
全米株式(VTI)とS&P500(VOO)のような関係性です
組入銘柄の重複率
時価総額ベースでの組入銘柄の重複率は77%とほとんど同じです。
業種比率の違い
VISセクター | VIS | XLI | XLIセクター |
---|---|---|---|
航空宇宙・防衛 | 16.6% | 19.2% | 航空宇宙・防衛 |
産業機械 | 11.7% | 19.7% | 機械 |
建設機械・大型トラック | 5.8% | ||
農業機械 | 2.8% | ||
コングロマリット | 11.2% | 14.3% | コングロマリット |
Railroads | 8.3% | 12.0% | 陸運・鉄道 |
陸運 | 3.3% | ||
航空貨物・物流サービス | 6.7% | 8.3% | 航空貨物・物流サービス |
電気部品・設備 | 6.6% | 5.8% | 電気設備 |
建設関連製品 | 6.1% | 5.5% | 建設関連製品 |
調査・コンサルティングサービス | 4.9% | 3.9% | 専門サービス |
各種支援サービス | 2.1% | ||
人事・雇用サービス | 0.9% | ||
環境関連・ファシリティサービス | 3.9% | 4.9% | 商業サービス・用品 |
事務サービス・用品 | 0.4% | ||
空港サービス | 0.1% | ||
商業印刷 | 0.2% | ||
海運業 | 0.2% | ||
Heavy Electrical Equipment | 0.1% | ||
セキュリティ・警報装置サービス | 0.1% | ||
商社・流通業 | 3.6% | 2.4% | 商社・流通業 |
旅客航空輸送業 | 2.5% | 3.1% | 旅客航空輸送業 |
建設・土木 | 1.9% | 0.9% | 建設・土木 |
多少の違いはありますが、業種比率に大きな違いはありません。
構成銘柄の違い
左端のrankはVIS、右端のrankはXLIを指しています。
rank | 保有銘柄 | シンボル | VIS | XLI | rank |
---|---|---|---|---|---|
1 | Honeywell International Inc. | HON | 4.1% | 5.4% | 1 |
2 | Union Pacific Corp. | UNP | 4.0% | 5.3% | 2 |
3 | United Parcel Service Inc. Class B | UPS | 3.5% | 4.6% | 3 |
4 | Boeing Co. | BA | 3.3% | 4.2% | 4 |
5 | Raytheon Technologies Corp. | RTX | 3.2% | 4.2% | 5 |
6 | 3M Co. | MMM | 2.9% | 3.8% | 6 |
7 | Caterpillar Inc. | CAT | 2.7% | 3.6% | 7 |
8 | Lockheed Martin Corp. | LMT | 2.7% | 3.4% | 8 |
9 | General Electric Co. | GE | 2.6% | 3.4% | 9 |
10 | Deere & Co. | DE | 2.3% | 3.1% | 10 |
11 | FedEx Corp. | FDX | 2.1% | 2.6% | 11 |
12 | CSX Corp. | CSX | 2.0% | 2.6% | 12 |
13 | Illinois Tool Works Inc. | ITW | 1.9% | 2.3% | 13 |
14 | Norfolk Southern Corp. | NSC | 1.8% | 2.3% | 14 |
15 | Waste Management Inc. | WM | 1.5% | 1.8% | 17 |
16 | Eaton Corp. plc | ETN | 1.4% | 1.8% | 15 |
17 | Uber Technologies Inc. | UBER | 1.4% | なし | – |
18 | Northrop Grumman Corp. | NOC | 1.4% | 1.8% | 16 |
19 | Emerson Electric Co. | EMR | 1.3% | 1.7% | 18 |
20 | Roper Technologies Inc. | ROP | 1.3% | 1.7% | 19 |
TOP20 | – | – | 47.2% | 61.3% | TOP20 |
トップ20にランクインしている構成銘柄はほとんど同じです。構成銘柄数がXLIのほうが少ないこともあり、TOP20に占める比率は約6割あります。逆にVISも銘柄数が5倍近くありますが、上位組込銘柄の比率は約5割あります。
他のセクターと比べるとTOP20銘柄のシェアが低いようです。
ちなみにVISに含まれるXLI銘柄の構成比率は75%以上と大部分を占めています。
現在の株価
VISとXLIの現在の株価とチャートです。
米国資本財セクターETF(VIS・XLI)のパフォーマンス
結局はパフォーマンスが全てということでバックテストをしてみました(過去と未来の結果が同じ保証はないため、バックテストはあくまで参考までに)。
検証ツール
このブログではおなじみのポートフォリオビジュアライザーを用いて、パフォーマンスの比較をします。無料ツールとは思えない機能なので、知らない方は利用してみてください。
検証条件
検証期間:2004年10月〜2020年11月
配当金:再投資
検証結果
僅かな差でVISに軍配が上がりました。
VIS、XLIともにS&P500をわずかに下回るパフォーマンスでした。
検証期間においてはS&P500と互角でした
ちなみに年単位で比較しても、VISとXLIのパフォーマンスの違いはほとんどありません。
まとめ
結論としてはVIS、XLIのどちらを購入しても同じという結果になりました。
もし、米国資本財セクターに投資するのであれば、経費率が低いVISを選択するのがよさそうです(分配金の差で吸収できますが、税金分を考慮した結果)。
米国資本財セクターへの投資は楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで可能です。
米国株11種のセクターETFのまとめ記事もどうぞ!
みなさんの投資の一助になれば幸いです
おまけ
世界中の資本財セクターに投資するグローバル資本財 ETF(EXI)というブラックロック社が運用するETFもあります。
投資対象国 | 保有比率(%) |
---|---|
米国 | 51.67 |
日本 | 15.38 |
フランス | 7.1 |
イギリス | 4.93 |
ドイツ | 3.98 |
スウェーデン | 3.86 |
カナダ | 2.74 |
スイス | 2.48 |
デンマーク | 1.83 |
オーストラリア | 1.31 |
キャッシュ、デリバティブ等 | 0.27 |
その他 | 4.46 |
世界中に投資先が分散されている点はよいのですが、パフォーマンスは今回紹介した2種のETFよりも悪く、更に経費率が0.46%と高いため、わたし自身は積極的に投資したいとは思えませんでした。
超長期的にアメリカ以上に成長する国があるのであれば、投資してもよいかもしれませんが、気になる国の株式やETF、投資信託を購入すればいいような気もしています。
米国株の11種のセクターETFについて分析した記事も合わせて読んでみてください。
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