「NISAで毎月いくら積み立てればいいのか」。月1万円、3万円、5万円という金額を見ると、自分は少なすぎるのではないかと気になるかもしれません。
ただ、同じ手取りでも、家賃、家族構成、預金残高、これから使うお金は違います。先に決めたいのは投資額の目標ではなく、生活と予定している支出を守ったうえで、毎月いくらなら続けられるかです。
この記事では、生活防衛資金と年払い・旅行などの支出を分け、家計から積立額を計算する手順を紹介します。途中の金額は考え方を示す架空の例です。私自身の体験は、後半で分けてお伝えします。
毎月の積立額は「手取りの何%」より、残すお金から考える
手取りの一定割合を目標にする方法は分かりやすいものの、その割合が誰にとっても適切とは限りません。住宅費の負担が重い人と、当面の支出に余裕がある人では、同じ割合でも生活への影響が変わります。
まずは、次の順番でお金を分けてみてください。
- 毎月の生活費と返済など、通常の支出を確保する
- 年払い・旅行・帰省など、年間で見込む支出を取り分ける
- 生活防衛資金と、数年以内に使うお金の不足分を預金で準備する
- 予算のずれに備える余裕を残し、その後に長期投資の積立額を決める
金融庁も、資産状況や今後のライフプランに応じて貯蓄と投資を使い分ける考え方を示しています。投資には元本割れの可能性があり、必要なときに購入額より少ない金額で売ることもあります。支払い時期が決まっているお金まで、値上がりを前提に投資へ回さないことが大切です。金融庁「資産形成の基本」
1. 生活防衛資金は「今ある残高」と「毎月の補充分」を分ける
生活防衛資金は、失業や病気などで収入が減ったときにも、生活を維持するためのお金です。目安を考える際は、最低限必要な生活費に加え、収入が戻るまでの期間、家族の収入、公的保障や勤務先の制度を確認します。
必要な月数に万人共通の正解はありません。扶養する家族がいるか、収入の変動が大きいかなどでも変わります。住宅や教育費として使う予定の預金を、生活防衛資金にも数えると二重計上になるので注意してください。
ここでは、生活防衛資金の目標残高と、毎月積み増す金額を区別します。例えば目標を120万円、現在の専用預金を96万円と置くなら、不足は24万円。これを12か月で補う計画なら、毎月の預金への積立は2万円です。120万円は説明用の仮定で、おすすめの一律金額ではありません。
すでに必要な残高を確保している場合は、同じ金額を毎月取り分け続ける必要はありません。一方、備えがほとんどない、毎月赤字、高い金利の借入がある場合は、投資を急がず、現金の確保や家計・返済計画の立て直しを優先する選択があります。
2. 年払い・旅行・家電の支出を月割りする
普段の月は黒字でも、年払いの保険料や税金、帰省、旅行などが重なると預金が減ります。これらは「臨時だから仕方ない」で済ませず、過去1年の明細と今後の予定から予算に入れます。
例えば、年払いなどが年間24万円、旅行・帰省が年間12万円なら、合計36万円を12で割って月3万円。毎月の生活費とは別に、預金で取り分ける計画にします。日々の支出をすでに年平均で集計している場合は、同じ年払いをもう一度差し引かないでください。
月割りだけでなく、支払日までに現金が足りるかも確認します。3か月後に12万円の支払いがあるのに残高がゼロなら、月1万円ずつでは間に合いません。当面は月4万円を確保するなど、実際の支払い予定に合わせた調整が必要です。
数年後の車の購入や教育費などは、年間の特別支出とは別に管理すると整理しやすくなります。「必要額−すでに確保した預金」を「支払いまでの月数」で割ると、これから毎月準備する額の目安になります。預金の利息や物価変動は含まない簡易計算なので、見積額が変わったら計算し直します。
支出の分類から始めたい場合は、家計簿をつけたあとの振り返り方を参考にしてください。
3. 手取り30万円なら、いくら投資できる?架空の計算例
次は本人の家計や一般的な平均ではなく、計算方法を示す架空の例です。賞与を含まない月の手取り30万円、生活防衛資金の専用預金96万円がある家計を想定しています。
| 項目 | 月額 | 前提 |
|---|---|---|
| 手取り収入 | 30万円 | 賞与を含めない |
| 通常の生活費・返済 | −22万円 | 住居費、食費、通信費など。以下の項目は含めない |
| 年間の特別支出 | −3万円 | 年払いなど24万円+旅行・帰省12万円を月割り |
| 生活防衛資金の補充 | −2万円 | 目標120万円との差額24万円を12か月で準備 |
| 2年後の予定支出 | −1万円 | 上記とは別の必要資金24万円を24か月で準備 |
| 予算のずれに備える余裕 | −1万円 | 月々の変動に備えて預金に残す |
| 長期投資に回せる計算上の残額 | 1万円 | 実際の支払い時期と残高も確認する |
この例では「手取り30万円だから投資は3万円」と先に決めず、30−22−3−2−1−1=月1万円と計算しています。ただし、計算上残った1万円を必ず全額投資する必要はありません。支出の把握に自信がない場合は、さらに少額から始める、まず預金で残高の動きを確かめる、といった方法もあります。
1年後に生活防衛資金が目標に届けば、月2万円の使い道を見直せます。そこで機械的に投資を増やすのではなく、生活費や今後の予定が変わっていないか、運用中の値動きを受け止められるかを確認します。
賞与は毎月の積立を維持する前提にせず、実際に受け取った後で、年払い支出や現金の不足分を確認して配分する方が管理しやすくなります。給与が変動する場合も、収入が多かった月だけを基準に固定の積立額を決めないようにしましょう。
私は年収が上がっても、投資額をあまり増やさなかった
ここからは私自身の体験です。2022年の転職で年収は約200万円上がりましたが、毎月の投資額はあまり変えませんでした。コロナ禍が明けてからは、旅行などの体験にもお金を使うようになったからです。
このブログでは「入金力」を大切にしていますが、増えた収入をすべて投資に回してほしい、という意味ではありません。何となく続けている出費を見直すことと、自分が楽しみにしている体験まで削ることは別だと考えています。
私の資産額や入金額を、そのまま目標にする必要もありません。家計の余力をつくり、今使いたいお金と将来に残すお金を自分で選べるようにする。そのうえで続けられる積立額を決める、という順番をおすすめします。働き方の変化も含めた体験は、転職で年収が200万円上がった実体験にまとめています。
積立額を減らす・止めるのは、どんなとき?
一度設定した金額を守るために、生活費を借りたり、必要な支出を先送りしたりしては本末転倒です。次の変化があったときは、積立額を計算し直します。
- 育休・転職・休職などで手取りが減る:新しい収入で生活費と備えを確保できるか確認する
- 現金残高が計画より減り続ける:年払いの取り分け不足や、予算に入れていない支出がないか点検する
- 住宅・教育などの支払いが近づく:期限までに必要な現金を準備できるか見直す
- 値下がりで生活に支障が出るほど不安になる:投資額だけでなく、株式と預金などの資産配分も見直す
積立を止めても、すでに保有している資産が自動で売却されるわけではありません。新たな買付けの減額・停止と、保有資産の売却は別の判断です。止めただけでは手元の現金は増えないので、直近の支払いが足りない場合は資金の確保も必要です。
相場が下がったという理由だけで、生活防衛資金を取り崩して増額する必要はありません。家計に無理がないかと、どの程度の値動きを受け入れられるかを分けて考えます。配分の考え方は、アセットアロケーションの決め方で整理しています。
計算して余裕がなかったら、投資より先に家計を整える
残額がゼロやマイナスでも、無理に積立額をひねり出す必要はありません。まず支出の見落としと、今の生活に合わない契約がないかを確認します。
例えば通信費なら、安いプランへすぐ乗り換える前に、実際の使用量、通話、必要なサポート、切替費用を確認します。保険も、公的保障と預金で足りる範囲を確かめずに解約するのは避けましょう。固定費を見直す5つの選択肢から、自分に関係する項目だけ取り組めば十分です。
投資額が決まったら、NISAで積立を始める手順へ進めます。NISAの非課税枠は使い切る義務ではありません。上限から逆算するのではなく、家計から決めた金額で活用してください。
まとめ:他人の金額ではなく、自分の支払い予定で決める
毎月の積立額は、手取りから生活費だけを引いて決めるのではなく、年間支出、生活防衛資金の不足分、近い将来に使うお金、予算の余裕も含めて考えます。
まずは過去1年の明細と、今後1年の大きな支払い予定を書き出してみてください。投資額を増やすことだけを正解にせず、生活が変わったら減らす。今の楽しみと将来の備えを両立しながら、続けられる金額を探していきましょう。
参考資料
- 金融庁「資産形成の基本」:家計管理、ライフプランに応じた貯蓄と投資の使い分け、投資のリスク
- 日本FP協会「くらしとお金のワークブック PART 5」(PDF):無理のない積立額、目標金額と期間から必要額を考える方法
- 金融庁「NISAを知る」:NISA制度の概要
参考情報の確認日:2026年10月17日。計算例は利息・運用収益を含まない仮定で、特定の積立額や投資成果を保証するものではありません。


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