資産が増えた理由を分ける|入金額と運用損益の記録方法

資産が増えた理由を分ける|入金額と運用損益の記録方法 資産形成の考え方

資産残高が先月より30万円増えていても、30万円すべてが投資の利益とは限りません。20万円を新たに入金していれば、残りの10万円が値動きなどによる増減です。

残高の増減、外から入れたお金、運用による増減を分けると、相場が悪いときも自分が積み上げた分を把握できます。無料の表計算ソフトや金融機関の明細で記録できる方法を説明します。

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金融資産の増加をすべて投資利益にしない

私が公開している金融資産の記録も、投資利益だけを示す数字ではありません。入金や資産の移管などを含む残高です。総額が増えたことと、運用がうまくいったことを同じ意味にしないようにしたいと考えています。

毎月の給与からお金を残して入金することも、資産形成の大切な一部です。一方で、入金で損失が見えにくくなることもあります。両方を分けておくと、相場の結果だけで自分の行動を評価せずに済みます。

最初に「どの範囲」を計算するか決める

分かりやすいのは、投資用の証券口座について、保有商品の評価額と口座内の現金を合わせて記録する方法です。複数の証券口座を合算する場合は、毎月同じ口座を対象にします。

給与や生活費が動く銀行口座まで含めると、給与の入金、買い物、税金の支払いなども範囲の外との出入りになります。投資の損益を調べたいときは、生活費口座を含めない方が記録しやすくなります。家計全体の純資産を調べる計算とは、目的を分けてください。

月末残高・入金・出金の4項目で記録する

対象口座の範囲が変わらず、評価方法もそろい、すべての外部との資金移動を記録できていれば、次の式で円単位の増減を分けられます。

運用等による増減額 = 期末残高 − 期首残高 − 外部からの入金 + 外部への出金

「運用等」としているのは、価格の変動だけでなく、為替、利息、配当、口座から差し引かれた手数料や税金などの影響も含むためです。税務上の譲渡損益を計算する式ではありません。

項目 増えた月の仮例 値下がりした月の仮例
期首残高 1,000,000円 1,000,000円
外部からの入金 100,000円 100,000円
外部への出金 0円 0円
期末残高 1,130,000円 1,060,000円
残高の増減 +130,000円 +60,000円
運用等による増減 +30,000円 −40,000円

右の例では残高が6万円増えていますが、10万円の入金を除くと4万円減っています。反対に、生活費へ出金した月は残高が減っていても運用で損をしたとは限りません。金額はすべて説明用で、私の実績ではありません。

間違えやすい5つのケース

1. 自分の証券口座間の移動

計算対象に含めたA口座からB口座へ10万円移しても、合計では入金でも出金でもありません。一方、B口座だけを集計するなら外部からの入金です。どちらを記録するかは計算範囲で変わります。

2. 配当と分配金

口座内で受け取った配当が期末現金に含まれているなら、外部からの入金として引かず、利益としてもう一度足しもしません。対象外の銀行口座へ直接受け取った場合は、対象から外へ出た分として記録を補います。税引後の金額でそろえるなら、税引前の配当額を混ぜないようにします。

3. 商品の売買

投資信託を売って同じ口座に現金が残っただけなら、対象範囲からお金は出ていません。買付代金をすべて出金、売却代金をすべて入金にすると、運用の増減を正しく分けられなくなります。

4. 株式などの現物移管

計算範囲の外から商品を移してきた場合、現金の入金だけを引いても移管した商品の価値が利益に見えてしまいます。移管時点の評価額を外部からの流入として扱うなど、記録基準をそろえる必要があります。明細から確認できなければ、その月は「移管あり・損益未確定」とし、無理に損益を断定しません。

5. 外貨と評価日の違い

円で生活するための資産を把握したいなら、期首・期末を円換算で統一します。ドルで値上がりしていても円高で円換算額が減ることがあります。金融機関間で為替レートや評価時点が違う場合は、その差もメモします。

増減「額」と利回りは別に考える

月の初めに100万円入れた場合と、月末に100万円入れた場合では、運用していた期間が違います。上の式で出た増減額を単純に期末残高で割っても、正確な運用利回りにはなりません。

入出金の時期の影響を取り除いて運用を比較する指標に時間加重収益率があります。自分が投入したお金の時期・額を反映する金額加重収益率とは目的が異なります。まず円の増減を整理し、他の運用との比較が必要なときに、金融機関の表示がどの方法か確認しましょう。

参考:IBKR公式・時間加重収益率の説明金額加重・時間加重収益率の資料。ここでの紹介は計算方法の参照であり、口座開設を勧めるものではありません。

最初から過去すべてを再現しなくてもよい

過去の入出金明細がそろっていなければ、資産残高だけから運用益を逆算しないようにします。「残高は確認できるが、運用損益は未集計」と分け、今月末を開始点にしても十分です。

月ごとに期首・期末・入金・出金・移管や評価変更のメモを残します。前月末と翌月初の残高がつながっているかを確認すると、対象口座の抜けや更新のずれにも気づきやすくなります。

記録した結果で、すぐに投資方針を変えない

月単位で運用の増減がマイナスになることはあります。そのたびに高リターンの商品を探し直すより、生活費を確保できているか、資産配分が自分の目標から大きくずれていないかを確認します。

配分を確認する際はリバランスの考え方と無料計算シート、積立額を考える際は資産形成は利回りより入金力を参考にしてください。記録を完璧にするために費用を増やす必要はありません。

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