この記事の結論
同じ経験や能力でも、働く会社や事業の段階によって評価と報酬は変わります。ただし、額面年収が上がっても、賞与、労働時間、責任、予算や人員まで含めると、すべての条件がよくなるとは限りません。転職後の入金力は、増えた年収ではなく、手取りから生活費と近い将来に必要なお金を引いたあとに、無理なく投資へ回せる金額で判断します。
「転職すれば年収が上がる」とは限りません。ただ、同じ人でも、どの会社で、どの市場に向けて経験を使うかによって、提示される報酬が変わることはあります。
わたしは2022年に転職し、額面年収が約1,200万円から約1,400万円になりました。能力が転職を境に急に高くなったわけではありません。これまでの経験を、より深く関われる環境で評価してもらえた結果だと考えています。
この記事では、勤務先を特定できない範囲で、転職前後の収入と働き方の変化を整理します。転職を勧めるためではなく、現在の給与を「自分の価値の上限」と決めつけず、働く場所を変える選択肢も含めて考えるための材料です。
先に結論:年収だけでなく、入金力がどう変わるかを見る
転職で年収が上がっても、賞与がなくなったり、労働時間が増えたり、生活費が膨らんだりすれば、資産形成に回せるお金が増えるとは限りません。
わたしの場合は、年収の額面は約200万円増えましたが、毎月の投資額は大きく変えませんでした。年収が増えたことと、投資への入金が同じ金額だけ増えたことは別です。
投資に回せるお金 = 手取り収入 − 生活費・固定費 − 近い将来に必要なお金
転職を検討するときは、額面年収の差だけでなく、手取り、賞与、働く時間、通勤費、福利厚生、退職金などを含めて比較することが大切です。
2022年の転職で年収は1,200万円から1,400万円へ
転職前は、不動産関連のWebサービス企業でマーケティングに携わっていました。転職後も経験を活かせるマーケティング職ですが、対象業界により深く関わる事業会社へ移りました。会社名や具体的な事業内容は、身元特定を避けるため伏せます。
| 転職前 | 転職後 | |
|---|---|---|
| 額面年収 | 約1,200万円 | 約1,400万円 |
| 賞与 | 年150〜200万円程度 | なし |
| 給与の特徴 | 賞与の比重があった | 賞与なしで月例給与に寄る |
転職後は賞与がなくなったため、年収の差は月例給与だけでなく年間の総額で比較しました。求人票の「年収○万円」という数字だけを見て判断すると、こうした内訳を見落とす可能性があります。
ここで紹介しているのは額面の比較です。税金や社会保険料は人によって変わるため、「年収が200万円増えたので、手取りも200万円増えた」という意味ではありません。
転職を考えた理由は、年収だけではなかった
長年同じ会社で働いてきたこともあり、仕事に少し飽きてきた感覚がありました。もう一つの理由は、対象業界のより深いところまで関わりたい、仕事に手触り感がほしいという思いです。
単に給与が高い会社を探したというより、これまでの経験を別の環境で使い、事業に近いところで仕事をしたいと考えました。結果として、その経験を評価してくれる会社に移ったことで、提示される報酬も変わりました。
転職サービスは使わず、リファラルで決まった
今回の転職では、転職サイトや転職エージェントは使っていません。知人からのリファラルがきっかけで、面接から約1週間で決まりました。そのため、この記事で特定の転職サービスを「自分が使ってよかった」と紹介することはできません。
これは誰にでも再現できる方法ではありません。転職サービスを使わなかったことを勧めたいわけでもありません。求人票やスカウト、知人からの紹介など、複数の経路で自分の経験がどのように評価されるかを確認することに意味があります。
転職するつもりがなくても、定期的に求人を眺めたり、同じ職種の募集条件を確認したりすれば、現在の会社以外での評価を知るきっかけになります。応募や転職をしないまま、情報収集だけで終えても問題ありません。
年収は上がったが、働き方は楽にならなかった
転職後は管理職としてスタートアップに入りました。最初はキャッチアップが必要だったため、転職前より残業が増え、休日にも働いていました。
また、管理職であっても自分で手を動かす機会が増えました。前職と比べて、使える予算や部下の人数が少なく、実行できる施策の規模も小さくなりました。年収は上がりましたが、仕事の裁量や規模がすべて大きくなったわけではありません。
転職先を比べるときは、年収だけでなく次の項目も確認したいところです。
- 賞与・株式報酬・退職金を含む年間の総額
- 管理職手当や固定残業代の有無
- 残業時間、休日対応、繁忙期の働き方
- 労働時間まで含めた実質的な時間単価
- 予算、人員、意思決定の範囲
- 在宅勤務、通勤、休暇、福利厚生
- 会社の状況が変わったときの給与・雇用条件
年収が高くても、時間や健康を大きく失うなら、長期的な資産形成にとって良い転職とは限りません。
増えた収入のすべてを投資には回さなかった
転職前から投資を続けていたため、転職後に毎月の投資額を大幅に増やしたわけではありません。年収が200万円増えたことと、投資への入金が同じ金額だけ増えたことは別です。
ちょうどコロナ禍の行動制限が緩和され、外出や旅行をしやすくなった時期でもありました。そのため、増えた収入の一部は旅行などの体験にも使うようになりました。資産額を最大化するために現在の楽しみをすべて後回しにするのではなく、将来への備えと今の生活の両方にお金を配分しています。
収入が増えたからといって固定費を大きくすると、収入が下がったときに元へ戻しにくくなります。一方、旅行のように自分で回数や予算を調整できる支出は、固定費とは性質が異なります。余裕資金をどこまで投資へ回すかは、生活防衛資金や近い将来の支出を確認したうえで決めます。
わたしの資産形成では、投資先の利回りだけでなく、毎月継続できる金額と、下落局面でも投資を続けられる家計を重視してきました。資産の推移や下落時の記録は、会社員が金融資産1億円を達成するまでで公開しています。
転職で必ず入金力が上がるわけではない
- 仕事内容や人間関係が合わない可能性がある
- 試用期間や評価制度によって、入社前の想定と差が出ることがある
- スタートアップなどでは、会社の状況や役割が変わりやすい
- 給与が上がっても、残業や生活費が増えて手元に残らないことがある
- 新しい環境への適応に時間と体力が必要になる
「年収が上がるか」だけでなく、「その条件で何年続けられるか」「手取りからいくら残せるか」「投資を続けられるか」で判断する必要があります。
転職だけが選択肢ではありません。現職で昇給を交渉する、異動する、担当領域を広げる、資格や実績を積むなどの方法もあります。転職活動をしてみた結果、今の会社に残ると決めるのも合理的な選択です。
まとめ:現在の給与を、自分の価値の上限だと思わない
わたしは2022年の転職で、額面年収が約1,200万円から約1,400万円になりました。年収が上がった理由は、転職を境に能力が急に変わったからではなく、これまでの経験を別の会社・市場で評価してもらえたからだと考えています。
一方で、賞与はなくなり、当初は残業や休日対応が増え、予算や部下の減少によって仕事の規模も小さくなりました。年収アップだけを切り取ると、転職の実態を誤って伝えてしまいます。
資産形成の観点では、年収の大きさを競うことより、手取りから無理なくお金を残し、長期投資を続けられる状態をつくることが重要です。今の給与が自分の価値のすべてとは限りません。転職するかどうかをすぐに決めなくても、別の会社や市場で経験がどう評価されるかを調べるだけで、働き方と入金力を考え直すきっかけになります。
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この記事は個人の経験を整理したもので、転職や投資を勧めるものではありません。年収、税金、社会保険料、雇用条件は個別に異なるため、応募・転職の判断は契約内容を確認したうえで行ってください。


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